80年前に建てられた、徳山石のお墓の建て替え工事。既存の墓石をクリーニング等できれいに。下関市豊浦町の中ノ浜遺跡墓地
ホームページをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
下関市から北九州を中心に、お墓専門にお仕事をさせていただいております、天の石材の天野です。
今回は、下関市豊浦町の中ノ浜遺跡墓地で、徳山石のお墓の建て替えをさせていただきましたので、ご紹介します!
【下関市豊浦町 中ノ浜遺跡墓地 徳山石のお墓の建て替え】
ホームページをご覧になったお客様からのご相談です。このたび亡くなったお父様が、亡くなる前から「お墓が古くなったから建て替えたい」とおっしゃっていたそうで、ご納骨の前に建て替えたいとご相談いただきました。お電話をいただいて、現地でお会いしました。
こちらが今回のお墓です。とても大きく立派なお墓で、きれいにお参りされている印象を受けるお墓ですが、建てられてから80年経っています。そのため、お墓の土台のコンクリートの部分は経年劣化でヒビが入っていたり、開いてしまっているところもあったりしました。
また、納骨室もとても深さがあって納骨自体が大変なことや、お墓手前には階段が付いていて、奥様はご高齢になるにつれ上がるのがつらく、柵もないので高くて怖いということもおっしゃっていました。
お墓本体です。山口県産の徳山石で作られた手の込んだつくりのお墓です。徳山石は耐久性のある石ですが、建てられて80年という年月の間に、苔や水垢などたくさんの汚れが付着していました。
昭和15年建立とあるお墓の背面です。お父様がご自分で目地を入れてお手入れをされていたのか、目地の部分は黒くなっているところもあります。丸く白いものはゼニゴケで、表面にびっしりついています。この墓地が海に近いことも関係しているようです。
台座の部分にも同じように丸い苔や汚れが付着しています。ここも、目地のあたりは黒くなっています。
水鉢や花立てです。水鉢は、くぼみが真っ黒になっています。昔に作られたものなので、花立てにはの水抜きの穴もなく、お水の入れ替えなどにも不便です。
徳山石というとても良い石で作られた立派なお墓でもあり、石の状態などを確認して、クリーニングして苔などの汚れを取ればきれいになりますよ!とお客様にお伝えすると、このお墓はご先祖様から受け継いで昔から大切にしてきたお墓なのでぜひ残したいとおっしゃって、お墓そのものは再利用することになりました。そのほかに、困りの点を改善する方法をご提案してお見積もりをし、ご了承いただいて工事が始まります。
工事が始まりました。まずは、再利用するお墓の部分を取り外して一旦持ち帰ります。クレーンで吊り上げて取り外していきます。
基礎を含むすべてを取り外し、一度更地に戻しました。ここから基礎工事を行っていきます。
基礎コンクリートを施工するための準備をしています。砕石を敷いたところに木枠を組み、そこに鉄筋を組んでいます。今回は、お困りだった階段をなくすので、こうしたフラットな低い基礎を打ちます。
コンクリートを流し込みました。お隣のお墓とずれてしまわないように、平行になるように気をつけて型枠を設置します。
コンクリートを流し込んでから1週間ほど養生し、基礎が完成しました。基礎の端は、強度面・安全面から面取りをしています。
納骨室を設置し、クリーニングと色入れをしたお墓本体を据え付けて完成です!
階段をなくしたので、安全にお参りすることができます。また、納骨しやすい観音扉式の地上式納骨室には通気口も設けていますので、湿気などもより溜まりにくくなりました。
クリーニングを終えて、色を入れ直したお墓です。目地もきれいに入れ直しました。徳山石の石肌がここまできれいに見えるようになりました!
額は2段になっていて、上蓮華の豪華なつくりです。クリーニングできれいになったことで、より立派で高級感のあるお墓になりました。
背面の文字部分です。汚れがびっしりついて文字が読めないような状態でしたが、それがすっきりときれいになり、色を入れたので手彫りの味わいのある文字がはっきり読めるようになりました。色は筆で入れますが、古い文字なので、雑にして間違ってしまうと取れなくなってしまいます。一文字一文字丁寧に入れました。
お墓の背面から側面を見たところです。黒く汚れがついていた目地のあたりもきれいにすっきりしました。下の方は新しく作った納骨室です。
水鉢はきれいにして再利用しました。くぼみは真っ黒でしたが、新品のようにきれいです。花立て・香炉は新しく作りました。花立ては、抜き差しできるステンレスの花筒を入れたので、お水の取替えなどが楽にできて衛生的です。香炉も昔の作りだったので、扉付きのものを作りました。
お墓の右奥に見えるのは、納骨室の中にあった古いお墓とお地蔵様です。こちらもきれいにしてからこの場所に安置させていただきました。墓前灯篭は、少し寂しいということでご希望でお付けしました。とても風格のある、高級感あるお墓に仕上がっています。土間部分をコンクリートで施工して草取りの手間がなくなり、お墓の周りのお掃除なども楽にしていただける快適なお墓になりました。
お客様にはとても喜んでいただけました。階段がなくなることで、以前のお墓より高さが低くなって見栄えが悪くなるのでは・・・と心配されていましたが、地上式の納骨室にしたことで高さもほとんど変わらず、「前のお墓のイメージのままきれいになってよかったです!」とおっしゃっていただけました。工事中に地中からとても大きな石が出てきたりと少し予定外のことがあったりしましたが^^;、無事に工事を終えることができ、喜んでいただくことができてよかったです。「お墓を建て替えたい」とご生前おっしゃっていたお父様にも、長くお墓を守ってこられたご先祖様にも、気持ちよく眠っていただけるのではないでしょうか?
今回のように、古くからのお墓を残してきれいにしたいというご相談はよくいただきます。お墓が建てられて古くなり、汚れたりすることは避けられないことですが、せっかくの立派なお墓をすべて新しくしてしまうのは少し寂しい気もします。ですから、「昔から大切にしてきたものを今後も守りたい」というお気持ちは、お墓の仕事をしている身としてとてもうれしいことです。今後も、専門の技術や経験を活かして、そうしたご希望を叶えるお手伝いをしていきたいと思います。